*救助隊キジ*


「うわああー!!綺麗!!」
「ビビー!!イイナガメ!!潮風は嫌いダケド窓があるからヘイキ!!」
「おうおう、はしゃいじゃって2人とも」

ケタケタ笑うエスケープにかまわず僕とレアージュは窓の外の海を眺めた
春先の海はまだ寒くて入る気にはなれないけど
穏やかな光にあたった海面は煌めいて
白波は眩く光る

澄んだ青空はどこまでも広がって
どこまでもいけそうな気になる

「気持ちいいー!!」
「キラキラシテル!!」
「すいませんねはしゃいじゃって」
エスケープが笑いながら店員と話している

僕らは今海岸沿いにある食堂に来ている
任務の帰りに見つけた場所

お腹も凄くすいてたしちょっと入ってみようということになったのだ

入ってみるととても大きな窓があって
素晴らしい眺めが広がっていて
僕とレアージュは一気にテンションが上がったのだ

「ビビー!!レアージュココ気に入った!!」
「僕も僕も!!いいなあここ」

「オレお造り定食で
あの2人には植物肥料と潤滑油でも…」
「ちょっと!!そんなの嫌だしあるわけないでしょ!!」
「かしこまりました」
「あるんですか!?てかレアージュも黙ってないでなんかいいなよ!!」
「ビビ?レアージュソレデイイ」
「いいのかよ!!」
「あんまり騒ぐと店に迷惑だぞー」

一通りのいざこざがすんで
僕とレアージュは各々注文をすませてまた海に見入った
エスケープもレアージュ隣にきて海を見始める
僕の右隣にレアージュがいて
左隣にスペースがないからだろう

「そっちからはどう見えるかな」
といってエスケープの隣に移動した

お座敷に面した広いまど
窓はあるけどどことなく潮風の香りが漂う

果てしなく続く海と空どこか胸がキュンとなってしまう

チラリとエスケープを見やる
海を見つめるエスケープの横顔は
ちょっと切なそうだった

「アノ花エスケープに似てる」
そうレアージュが指す場所を見る
確かにエスケープの黄色によく似た花が咲いている


「ほんとだ!!似てるかも」
「よせやいガラじゃねえよ」そういいながら笑うエスケープ
「アノ毒々シイ葉ダネに似てる」
「毒々しいはよけいだ!!」

僕が怒りの声をあげるとエスケープはケタケタと笑いレアージュも初めは笑っていたが次第に笑いの表情が曇っていく
「まだアルカラ…イイ…レアージュの色ナイ…」
少し寂しそうなレアージュ
そんなレアージュの体を引き寄せて頭をエスケープが撫でる


「そんなことないよ!!ほらそこの手すりとか似てるよ」
「ビビー!!ナチュラルなモノがイイ!!なんだ手すりって!!」
僕がそう言い放つとレアージュは表情を苛立ちにかえエスケープから離れ僕にくってかかった

僕らが何時もの不毛な喧嘩をするのをエスケープは周りに軽く謝っていた
得意のピカチュウスマイルで

やがて注文したのが届き僕らは食べ始める


「美味しいーこの天ぷら」
「ビビ!!レアージュのカキフライだってオイシイ!!」
「流石海の近くだな」


思い思い話ながら食べる
なんだか暖かくて
穏やかな空間


ふいにレアージュがつぶやく


「レアージュエスケープのたべてミタイ…」
「いいよ、沢山あるからよほら」


そういいながらエスケープは自分のお箸でレアージュの口まで運ぶ


「!!」
ちょっとだけ僕の眉が動く
「ほらエスケープ僕のも食べてみて」
僕は自分の箸で天ぷらを掴みエスケープの口元に運んだ
「お、サンキューダネ」

エスケープがそういいながら小さめの天ぷらを一口で食べる
するとレアージュがやはりピクリと動く

「エスケープ!!レアージュのもオイシイから」
「エスケープ!!ほら野菜も美味しいよ」

「おまえら自分の分がなくなるぞ」
そう冷静にエスケープに言われ
なんだかおかしくなって僕とレアージュは笑いあった

「オイ!!レアージュにもその天ぷらクレ」
「いいよ、じゃあカキフライ頂戴」
僕らはエスケープにしたのと同じように食べ物を交換しあった

食べ終わって外にでると辺りが夕暮れに包まれつつあった

茜色に染まる空
茜色に煌めく海
波飛沫が上がり
水平線に茜色が溶ける
海岸沿いの道からそんな風景を眺める

「もう少しで夕日が見れそう」
「ビビ…早くシヤガレ潮風フクナ!!」

夕日は見たいが早く帰らなきゃならない
一カ所にとどまりすぎるとレアージュがツライ
そんな板挟みにあってしまう

「なら、歩いて帰ろうぜそれならいいだろ」

「歩いてって…何時間かかると思ってるの?」
バッチを使えば一瞬で帰れるのに
「ビビ…きっと夜にナッテモ帰れナイ…」

確かに
たまたま火虎さんに送って貰えたからまだ早かった
歩いて帰ったらどれだけかかるか…

しかしエスケープはあっけらかんと応える
「別に?野宿すりゃいいじゃん?今日はあったかいし大丈夫だろ
野宿すりゃ朝日も見れるかもな」
そんなことをいいながら笑う
何時も笑い方

僕とレアージュは顔を見合わせ
そしてやっぱり笑った
「いいかもね」
「ドウセナラ朝日も見て帰る!!」

はじめこそキョトンとしていたエスケープだが
やがて少し噴出してつぶやいた

「さっすがオレが選んだ仲間。バカばっかりだ」
笑いながら少し先をいくエスケープに僕とレアージュは追いつく
さっきと同じ並び方


今日だけは
横顔をレアージュに見せてあげる


「ビビ…なんだかレアージュ…イマ…スゴク幸せな気分」

レアージュがふとそんなことを呟く
レアージュは感情にとても素直だ
普通じゃなかなか言いにくいようなこんなセリフだって
言えちゃう
そういう所は素直に尊敬したいし見習いたいと思う

「僕も!!」
そう言って僕が微笑むとレアージュもまた微笑んだ

「エスケープは?」
「仲間が2人も幸せならリーダーは幸せだよ」
振り向かずにそう言うエスケープ
だいたいの想像はつくから見なくても平気

幸せってこんなもの
とっても些細な日常に潜んでて

些細な日常からでてこない時もある


でも
本当はいつだって潜んでる
幸せが


少なくとも僕らが3人いるときは

楽しいことして笑ってたり
喧嘩して険悪だったり
依頼解決して喜びあってたり


モンスターハウスで苦しかったり

そんな中にいつだって潜んでる
僕らの幸せ


空と海が果てしなく続くように
僕らが3人いるときは
果てしなく
幸せが潜んでる


果てしなく続く海と空のように
何時までも3人一緒に
いたい


そうすれば
いつだって幸せなんだから


僕とレアージュはまた少し離れたエスケープとの距離をつめるため駆け出した

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ほのぼのしたキジをかいてみたくて1時間くらいでかきました(笑)
ダネエスもいいんですが
私はキジ自体も凄く好きなんだってビィさんの漫画を読み直して理解しました

だからレアージュというピースは凄く大事でいままで書かなかったことを後悔しました
レアージュの喋り方の自信はありません(笑)

多少無茶があり勢いでかいたのですが
今までにない会話中心のにしてみたりしました

3人が笑顔で一緒にいるシーン
見たいなあ…(笑)


ビィさんがこれでマンガを描いてくれました!!!
うアアアアアアああ!!
ビィさんのサイトにリンクから急いでください!!!www

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