*はじまりの夢*

「アニャー…くたびれたにゃ」

そういいながらふらつく足取りでなんとか戦場と化したバトルフィールドを離れる


「お疲れニャース」
「なかなか良かったわよあなた」


ミジュマルとツタージャの声にかろうじて上げた手で応える


少しいった場所でニャーは腰を下ろした

足を投げ出して手を突いて座り込む


非常に疲れた
体中の関節という関節が悲鳴を上げる


明日は絶対全身筋肉痛だ
そうある種の諦めをいだき
久しく罹ってない筋肉痛の苦痛を思い出して辟易した


いつ以来だろうか
久しく味わっていなかった


戦うということ
本能を剥き出しにして、野生に帰ったように戦う



本当にいついらいだろうか


そう思いながら
先ほどまで戦っていた武器
爪に目を落とす



枯渇していた爪は
獲物と戦ったことで鈍く輝いていた姿から
彩りを取り戻したような
そんな感じがした



開いたり閉じたりすると
微かに戦っていた感覚が戻った気がした


「思春期じゃあるまいし…何を思ってるのニャ」


試合を終えた直後でアドレナリンでも大量分泌していたのか

上がった息が落ち着いてくるととたんに冷静に考える思考が戻ってきた


なんだか気恥ずかしくなってくる
そう思った矢先

背中に衝撃が走る


何かが寄りかかってくるような感覚
目をやると
先ほどまで相棒として共に戦っていた彼


「おつかれー」
「言ってることとしてることが矛盾してるニャ。本当に労う気があるならなんで寄りかかるニャ」
「あー2人とも押されてるよ旗色悪いなあ」
「やだ、なんて凄い無視なのニャ」


なんとか負けないように
絞り滓程度しかない背筋力を使ってピカチュウを押し戻し


お互いをお互いで背中で支え合うような
背中合わせになる


ピカチュウの視線をおってにゃーも視線を移す


なるほど
たしかに押されている


ズルックとチャオブーの2人がかなり苦戦している


「ありゃダメだね…」
「そんなのまだわからないニャ」
「わかるよ、何年戦ってると思ってるのさ。もうすぐ勝負つくよ」


仲間といえるのかと言えるほどのドライな物言い


しかし
わからないとはいったものの


にゃーもなんとなく勝負がもうつくような気がした


仲間だからこそはっきり言い切れるのかもしれない


それはまだ仲間になって日が浅いにゃーには不可能なことだった



ことの初めはなんだったのか

そんなことをぼんやりと思い返す



突如現れた挑戦者
旅の途中で出くわしたにすぎない


そいつがレパルダスを連れていた
こっちではさほど珍しいポケモンではない

だから一般のトレーナーがレパルダスをつれていたところで珍しくもなければ


そいつが凄いトレーナーというわけでもない


ただそいつが
そいつがにゃーを罵倒した
たしかそうだった気がする


貧相な猫だか
弱そうな猫だか


そんな内容だった気がする


真剣にきかず聞き流していたのでよく覚えていない


幼稚な挑発
何に必死なのかわからない


漫画じゃあるまいし
そんな挑発のらない

というか
寧ろ乗れない

そんな幼稚な挑発



しかし、サトシは違った


怒りをあらわにして食ってかかった


そしてあろう事か被害者であるにゃーをほったらかしにして勝手に勝負をする約束をし

にゃーがでるはめになった


にゃーはおみゃーのポケモンじゃないニャ


と抵抗したが無駄だった


アイリスとデントに助けを求めたが


こうなったサトシはとめられない


と言うような視線を向けられ
全ての希望は打ち砕かれ



そして戦って今にも至る



「あ〜あ、やっぱり負けちゃったよ」


響いた声で今に戻される


意識を2人に戻すと2人が先頭不能状態に陥っていた


ダブルバトル三回勝負だったが
一戦目のミジュマル・ツタージャも負けていた


つまり勝ったのは二戦目のにゃーとピカチュウだけ


成績は一勝二敗

つまりはにゃー達の負けだった


「結局黒星か」
「サトシが頭に血が上ってる時に白星は無理」

吐き捨てるように呟くピカチュウ


流石
長い間一緒にいるだけのことはある


ただ少し棘があるような気がする
それは仲間故なのか
負けたことにイラついているからなのか


なんとなくだが後者のような気がした


「悔しくないのかにゃ?」
「悔しくないわけないよ悔しいさ、ただ…」


「君との初試合。僕らの試合だけでも勝てて良かったから。いいかなって」


背中合わせ
顔は見えない
だから君の顔は見えない


さっきからの君は声の強弱でしか機嫌がわからなかった


だから今も君の機嫌は声でしか判断できない


ただ
先ほどよりも明らかに機嫌が良くなってるのがわかった


「ニャース左腕上に掲げて」

急な発言
意図はわからなかったが
また少し機嫌が悪くなっては困るので言うとおりに掲げる


何かが触れる
少し目をやると
それが君の右腕ということがわかった


流石に戦闘に疎いにゃーでも何がしたいかがわかった


「まずは一勝。ここから始まりだよ」
「これから全勝とか夢見ていいかにゃ」
「まあ、夢はみなきゃみれないしね」
「この一勝と夢みる全勝を始まりに」
「いくよ相棒」


そう言って掲げた拳をぶつけ合った

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なんだかアツイ2人にwwただこういう友情や青春的なのすきなんですよね。

回りまわって帰ってきた感じですね

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