*GW*

ゴールデンウイークは後半に突入し、各地では交通渋滞が…

どこか遠いところから聞こえるような声
だけどそれはすぐ傍

正確にはすぐ下
木の上の枝に跨る僕に木の根元で幹に背中を預ける君の傍らにあるラジオから流れてきていた


青葉の季節
日差しが強いが風は心地よく
快適といえる季節だった


「どうして人間ってわざわざ疲れにいくかな」
「あそびたいニャよ、遊びなら疲れても後悔しにゃいんじゃにゃーかなあ」


特に気のきいた質問でも無ければ
気のきいた返事が欲しかったわけでもなかった

だから月並みな返事でも良かった


長い付き合いだからわかってるのだ
僕が気のきいた質問をしたわけでもなければ
気のきいた返事が欲しいわけでもないことを


「わかんないなぁ」
「ていうか、わかろうとしてなくないかニャ?」

「それ正解」

そう言って笑った

ラジオの音が一般人が興奮気味に話すものに切り替わる
行楽地インタビューというやつだろう


耳障りになったボクは木から降りると
ラジオの音量を弱め
彼の右隣に座った

幹でなく体を彼に預ける

「ボクはこうしてるだけでいいな休日は」
そう言うと彼は照れくさそうにしながら余所を向く
本当に恥ずかしい時の反応だ


ボクはそれが楽しくて少し笑った


休日は休みを、疲れをとるためにある筈だ


普段は肉体的よりも、精神的にまいってしまってる


好きな人と共に歩めない
好きな人と一緒にいられない
好きな人を傷つけなくてはならない


それらは強いストレスになってボクを日々苦しめていた

だからこそ
休みたい
彼の傍で



「そろそろ帰るかにゃ」
ニャースがそう声をかける

一緒にいる時間は恐ろしく早くすぎる
まして
一緒にいる時間はとても短い


「ズルいよね」
「何がニャ?」
「世間は連休だってのに、ボク達にはたったの数時間しか休みがないなんて」


不公平な世界だ
ボクはふてくされながら息をついた

目線ははるか遠くに焦点を集める
次にあえるのはいつかな


目では勿論そんな予定は見えない


「いつかきっと…一緒にいられるようになるよ」
「…そうだね」

そういいながら君は申しわけなさそうな
辛い
切ない顔をする


だから僕は君に同意する
作られた笑顔で
本当は心の中ではニャースと同じ表情をしてる


知ってるんだ
今のままでは
この生活と距離は変わらないって


君も僕も知ってる

だけど
それはあまりにも辛いから
それを真実と受け止めたら
離れ離れになってしまうから


だから僕らはそう呟く


負けてしまわないように
現実を受け入れてしまわないように


逃げてるんだ2人して


あきれちゃうよね


でも
こうするしかないんだ





「連休初日各地では…」
今年もまた、ラジオからあの謳い文句が聞こえてくる

そして、こうるさい行楽地の素人


でもいい
今年は消さなくて


ラジオはデントがもってきいている
ニャースのじゃない

「やっぱり混んでるみたいだ」
「でも、いかなきゃ!ここまできたんだし」
デントとアイリスの掛け合い

そして
「だよな、よーし行こうぜ、ピカチュウ、ニャース!」

「ピッピカチュウ」
「よーし、楽しむのニャー!」


僕の前をいくサトシ

僕の隣には
去年まで並んで歩けるなんて考えられなかった
君がいる


君が差し出した手を思いっきり握る


そして笑顔で答える

顔も心も笑ってる
何一つ作られていない


君がいる
僕がいる


去年は聞き逃したオススメデートスポットの話題がラジオから聞こえてきた。

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GWのときにかいてたのがここまで遅くなるなんて・・・

てなわけでニャースがまだピカチュウに同行してたらってことで

そうでもしないと上手いオチができませんでした(おい

ちょっと違う感じの書き方をしてみました。マンネリ防止w

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