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「トピ…」
「あ…くさかげさん…お帰りなさい」

傘こそさしているが
先ほど言ったように傘などなんの意味もない
彼の体は水に浸食され
綺麗な毛並みは光を失い
ねてしまっていた
アクセントのスカーフも湿り体に張り付いてしまっている

でくのぼうに劣る棒きれを投げ捨てわいはトピに駆け寄った

腕をつかむと驚くほど冷たくなっている彼に驚愕した


「な…なにしてんねん!!」
「何って…くさかげさんを待ってたんですよ?」
冷えた体でつくりだすその笑みは儚く綺麗に見えた

「アホ!!こんな…こんな…なるまで…」
わいはトピの体を必死にさすり温めようと試みたが浅はかにその願いは費えた

「こい!!」
わいはそういってトピを引っ張り玄関の戸をあけ入った
玄関に入ると合羽姿で濡れているノーアが座っていてこちらにもびっくりした
「ノーア…どっか行ってたんか…?」
「…お帰り…」
短く言うとノーアは空いているわいの片手を握った

振り払いたい所だが
凄まじい殺気におののいてしまう


「お帰り」
そういいながらアグルが現れる
手にはタオルが3つもたれていた
「風呂沸いてるから」
そういうとアグルはノーアの合羽のボタンを外しはじめた

わいは
「…風呂いけそこのドアや」
「いいの…?ボクが先で…」
「わいはそんな濡れてへん…いけ」
「うん…ごめんね」

最低限に体を拭くとトピはドアの向こうへと消えていった

こんな雨の中…
まだ10時にもなってないいったいいつからあいつは…

「彼な…3日前からいたんだ」
「!!?」

3日前
つまり
わいが帰らないと電話した日

わいがトピに別れをつげた日


「…電話したときには…もうおったんか…」
絞り出すように声を出して聞くと
アグルはゆっくりと頷いた


だん!!


力任せにアグルを壁に叩きつける
アグルは何も言わなかった

「なんでや…なんで…なんでほっといた!!なんで…」
「ほっといてなんかない…何度も何度も引き入れようとした…だけど彼はてこでも動かなかった…ずっとずっと立ってるんだ…」

ご飯も食べず
何をするわけでもなく
ずっとずっと立ってただけらしい


「それだけならまだましだがよ、ノーアまで外で待つって言いだしてもう大変だったんだぞ」
そういいながら現れたゼイムは体に包帯がまかれていた

「今日だってよ朝みてみたら大雨でよ流石にいないかなって思ったらずぶ濡れのまま立っててよ隣じゃノーアが合羽姿で座り込んでやがって…無理矢理傘だけあいつに持たして
ノーア連れ込んでたらこの有り様よ」
体に巻かれた包帯はノーアの抵抗の痕のようだ

アグルはわいの手を払いながら
さらに続けた
「言っただろ…そんなに脆いものじゃないって」

はっとする
あの言葉の真意
それを思い知る


「ったく…だが根性は気に入ったぜクソガキの中じゃ嫌いじゃねぇなあいつならいいぜ?」
「まったく…あんないい子を泣かすとはな…」
好き勝手に言いやがって…
まったく…
「どーせテメエのこった一方的になんか決めつけていったんだろ?アイツの待ってるときの目…ありゃなっとくがいなかい奴の目だ」
こんなときに…
こんなときに限ってゼイムは感が冴えている
普段と違う
「けっ…テメエもガキだな…理由が怖くていえなくて一方的にきめつけた…」
「ちが…ちがう…」

上手く否定できない
あながち的外れではないからだ

レインコートの襟元を掴まれる
掴まれて自分がまだレインコートをきていたことに気がついた

「自惚れんじゃね!!テメエそれでも男か?ああん?テメエの落とし前と責任くらいテメエでとりやがれ!!
オレの仲間だろうが!!」

「っ…」

こんなときばっか偉そうで
こんなときばっかリーダーぶって
こんなときばっか
正しくて
こんなときばっかかっこいい

顔に感じた水気は雨の残りではないだろう

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久々ですがまだ続きます

すいませんww

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