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「例の話なんですが…お受けします主任」
「本当かね!ありがとうくさかげ先生」
「それで今日から泊まり込んで研究したいのですがよろしいでしょうか」
「もちろんだよ!!いやあありがとう」

ひとしきり泣いた後わいは大学にきていた
主任からの話の承諾を告げ軽く会釈した


「詳しいことはこの書類にかいてあるから」そう言うと書類の束が渡される
わいがOKをだすと確信でもあったのか
書類の束を渡しながら主任はさらに続けた
「秘書だけど…今の時期に募集するわけには…」
「構いませんよそのかわりカーミーくんをわい専属にしてもらっていいですかね」
「カーミーくんはもともとくさかげ先生以外につく気はないようですがね」
そう笑う主任に昨日と同じように対応し研究室に入る

「おはようございます先生」
入ってきたわいを迎える
ちょっと今は体に毒なウサギの彼
「悪い、遅くなったな」
「いえ、実験準備のほうはできてますので」
そういいながら涼やかな笑みを浮かべる

彼もまあ自分にもったいないくらいいい子だった
凛としていて涼やかで聡明な子で饒舌で
たち振る舞いから育ちの良さと知才が溢れいるのが分かる

「そうか、すまんな」
「いえ、先生にはいろいろ教えていただいてますし」
そんなにいろいろ教えた覚えはないのだが
対称的な笑みを浮かべるしかない


「そや、わいなあの話受けることにしたんや」
そういうとカーミーくんは
「本当ですか!!教授になる話、」
「ああ…非常勤講師から随分な格上げやけどな」
「くさかげ先生いろんな学校で教えてますからね」

主任の話はそういう話だった
非常勤のほうが時間にゆとりがありトピと会う機会や遊ぶ機会があるから良かったが

今の自分には関係のないことだ

「んでな…カーミーくんにわいの研究室所属の助教の君やけど助手としてわいについてほしいんやけど」
そこまで言うとカーミーの顔が変わった
驚いたような顔を浮かべ
やがて目から滴を零す
1日に二度も人を泣かすなど最初で最後にしたいものだ

「すまん…嫌やったか」
「いえ、すっごく嬉しいです!!僕先生と研究するのが夢だったんで!!」

凄い勢いと笑顔を浮かべる
ただ泣かしたわけでなく泣かした二匹の涙は明暗をくっきりわけていた

「本当は先生新しい助手とっちゃわないか不安でした…」


そんなことをいいながらへへへと笑う
笑い声や話し声は玲としていて玲瓏だ

「すまんかったな…ほなよろしく頼むでカーミー助教」
「ええ、くさかげ教授」
「よしてや、今まで通りの呼び方でええわ」
「それは僕もです」
そんなことをいいながら笑いあう

自分は弱くて狡い人間だ
1人になりたくてあんな行動をとったくせに
1人ぼっちにはなりたくない
面影が似てる彼を
側においておこうとしている

そんなつもりではないそんなつもりでは…


もしそんなつもりがあるのなら
わいは酷いで済まされない奴だ
まだ彼に未練がありそれを同じウサギである…

考えるのをやめることにした
とんでもなく恐ろしいことを考えそうになる

「先生…?」
「…あ…なんやったっけ?」
「いえ、先生顔色が先ほどからずっと優れませんで…午後からの講義どうしますか?」
「あ…ああ大丈夫や…悪いけどこの資料コピーしてきてもろてええか」
「はい、先生」
そう行って彼は出ていった


誰もいなくなった部屋でわいはまた泣いた
みっともない

自分からふっておいて…おかしな話だ



「じゃあ暫く帰らないんだな?」
「ああ…悪いなアグルはん、ちょっと研究したくてな」
「3日くらいしたら帰ってこいよ…ノーアが手に負えなくなる前に」
少し憂鬱そうに電話口から聞こえる声
わいはその声に苦笑いしつつよろしくといって電話を切ろうとした
「…そんなに脆いものじゃないかもだけどな」
「たしかに…表情だけはそやろな…」

逃げてる
家にいればトピがくるかもしれない
だからこんな手段をとって逃げてる
とんだ臆病者だ


ノックの音がしわいは電話をきった

「先生コピーできました」
「おおきに、ほなわい講義いってくるさかい後頼んだで」
「はい、先生」
「あ…電話かかってくるかもしれんけど今日はあんまり話したないんや…せやから…」
「わかりました上手くお断りしておきます」


そういいながら笑う彼
やはりそんじゅうそこらの秘書よりめ優秀だ
そう笑いながらわいは研究室を出た


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2話目です
UPしわすれてたとかいえない(あ

続きます

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