*本当はわかってた*


気に入らない
気に入らない
気に入らない


本当に気に入らない


あいつには全部勝っているつもりだ
昔は全てにおいて負けていた

魔力も
身長も
頭も
運動も

それが悔しくて
ワイは必死になった
みっともないくらい
決してスマートではない


修行をつんだ

痛くても
辛くても
だるくても


雨の日も
雪の日も
雷の日も


ずっと頑張った
あいつにかつために
沢山の本を読み知識をつけ
修行という修行をやりつくした


怪我もしたし
血もでたし
肉刺も痣もできた


だけど平気だった


あいつに勝つ
あいつに完全勝利する


全てを勝る
ワイはそれだけを糧に
それだけを夢に
それだけを目標にして
ずっと頑張った


努力はいつか実る
その言葉は本当だった
ワイはあいつに勝った圧勝という言葉をワイは味わい
惨敗という言葉をあいつに味あわせた

こんなに弱かったのかと
あまりのあっけなさに
いろいろ通りこして呆れた

妖術で圧勝し
身もワイのほうが伸びた
知識でも勝ったし
走ってもワイが早かった


昔負けていたものは全て勝った
そう思い確信した

ワイはお前を全部勝ってる

しかし
ワイが修行にあけくれてる間に
あいつはワイに勝るものをもう1つ作っていた

それは友達の数
あいつは随分と顔が広い
おちゃらけ野郎になっていて
トラブルメーカーのようなくせに
沢山の友人に慕い好かれている


なんだかそれが
無性に面白くない

「なにぼーっとしてるんですかくさかげさん」
「なんやトピかいな」


樹によりかかり木陰で微睡むワイに話かける物好き


碧の躯に大きな耳首にまかれたワンポイントのスカーフ
女みたいに見えるが女ではなく男
愛らしい目も
大きな耳も


魅了的なのに宝のもちぐされだ
あいてを魅了するにことかかないというのに
もったいない話だ


「別に…」
「ひのまるさんのほう見てたくせに」


わかってるならきくなっちゅーねん
その声はどこか悲しげだったような気になった


「ひのまるさんがどーかしたの?」


横にこしかけるとそう問いかけてくる
丘の上の大木から下の広場を見渡すとサッカーをしてるあいつと


あいつの友達がいる


やはり無性に腹がたった


「気に入らんだけや」
ワイはそれだけ呟くと横になったトピの表情を見るのが何故だか辛かった


「なんで気に入らないんですか」


意外と食い下がってくる
何をワイに求めているのか


「なんでそんなこと聞くんや」
「だって…ボクひのまるさん好きだから…くさかげさんも好きだから…なんだか悲しくて」


コイツは本当に絵に描いたような真面目で優しいキャラだ
ようするに自分の好きな人を好きな人が嫌うのが辛いのだろう

真面目でお人よしな奴
こんなやつに
ワイの気持ちがわかるわけもない


わかっている


自分が持っているのは
ただの醜い嫉妬心

妬み
苛立ち
悋気

すべてが混ざった
ただの嫉妬心


1人よがりな自己満足
1人ぼっちになりたくなくて

勝手にあいつライバルに仕立て上げ

1人になって自分を磨いた


1人になりたいくせに
1人ぼっちがいやな矛盾


本当はわかってた


最初から

アイツはワイのことなんか見てない

最初からわかってた


本当はアイツに憧れてたこと


最初からわかってた

本当は
本当は
アイツと友達になりたかった


ただそれだけだった気がする

そして
やっぱり最初からわかってた
アイツには絶対にかなわないって


「くさかげさん…なんで…なんで泣いてるんですか?」
そう言われてハッとする


今自分が泣いているという現実を
目頭が熱くて
頬が濡れていく

喉のおくがカラカラに乾き潤いをもとめ渇望する

あの感覚嫌な感覚

「…何でもあれへん…」
ふいても拭っても止まらない涙
「嘘…何でもないなら泣いたりしないよ」

ペロ


頬に当たる湿っぽい感覚
粘着性のある

舐められている

「な…なにすんねん////」
舐められた部分を触ると仄かに暖かい
「しょっぱい…涙ってね…悲しい時はしょっぱい味がするんだよ…悲しいんだね…くさかげさん」


舌がつくくらい近づいていたトピの顔が悲しそうになる


「なんでおまえが泣きそうになるねん」


こっちまでいたたまれたくなる


「だって…だって…くさかげさんが悲しそうだと…ボクまで悲しいよ…」
「だからなんでやねんな…」
「だって…ボク…くさかげさんの友達だから…友達が悲しいなら悲しくなるよ」

目を見開く

「悲しいなら一緒に悲しんで
泣くときは一緒に泣いて
困ったら一緒に悩んで…
それが友達だってボク…思うから」

もう涙で上手く言えなくなってる

バカな奴だ…
ワイもおまえも

そんなことを思ってクスリと笑った

手を伸ばして
トピの両肩を掴むと引き寄せる
寝ていたワイがふいうちに引き寄せたため
力の強いトピでも容易にワイのうえにのっかる姿勢になる

驚く表情を見せるトピの赤い頬に舌をはわす


それはやはり

「しょっぱい」


ワイはそう言って笑うとトピを強く抱きしめた

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きいろさんちのくさかげとトピとひのまるをお借りしました
おもってたよりかわいく仕上げれたかなあと


きいろさんにささげます!

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