Oh, I am heartless


「別れよう」
「え?」


何を言われたかわからなかった
それくらい小さな声でひねり出すように出された呟きだった


言葉が理解できてもなんのことだかわからない
何を別れさせるのか


ニャースの目は遠くを見据えかなしげでありながらも何か憤りを感じる
そんな目


「じゃあにゃもうあわにゃいから」
そう言って立ち上がるニャース
その時になってようやく事の重大さに意味に気がついた


別れるのは僕とニャースだ


「ま…まって…なんで…」


いきなり告げられた別れ
納得なんてできるわけがない


すがりつくように腕を握りしめるが振り返りざまに向けられた目線は
今まで向けられたことはおろか
見たことすらないような


冷たく
痛い
視線だった
殺意すら感じる目に純粋に恐怖を感じた


しかしその瞳は直ぐに悲しみに染まった


「わるいにゃピカチュウにゃーは他の人とイチャイチャしてるのを見せつけられて我慢できるような大人じゃないにゃ」
「まって…あれは…あれは…」


自信を持って弁解することができず言葉に詰まる
ニャースが言ってるのはこの間のポッチャマとのこと


おかしな機械のせいでぼくとポッチャマは抱き合ったままだった
ずっと後ろめたい気持ちはあった
だけどあれは僕だって被害者だ


好きでもない相手とだきっぱなしで吐き気がした
僕の体をだきしめていいのはニャースだけ
ずっとニャースだけときめていたのに
破られた壊された約束は
僕に深い悲しみをおとした


だけど僕よりずっと
ニャースは傷ついていた
視線がすべてを物語っていた
辛く苦しそうな泣いてしまいそうな
ずっと耐えてきたそんな顔だった


ニャースは絶えることしかできなかった
落ち度が自分にもあることをわかっていたし
感じていた
それが彼をさらに苦しめた


僕みたいにポッチャマをしめてストレスを解消することもできず
ただ悩み傷ついていたのだ


「じゃあにゃ」


するりと腕の中から腕が引き抜かれ存在がなくなる
暖かさが消えていく


「まって…」


伸ばした手は彼を掴めず空を掴む
ただ去っていくニャースにかける言葉が見つからない
止めないといけないのに
なんとかしないといけないのに


ただただ去っていくをの途方にくれながら見ることしかできない
やがてニャースの姿は完全に見えなくなってしまった


「うああああああ」
声をあげて泣きじゃくる


自分でまいた不幸の種が
芽を出し
花を咲かせ
実をつけ

僕に不幸を味合わせた
みんな自分でまいた種だ


いつかはさよならがくるかもとは不安だった
けれどまさかこんな形だったなんて


彼の名をいくら呼んで泣いても彼は僕の前には現れなかった


---------------------------------------------------------------------------------------------
つづきます
こないだの巻より

inserted by FC2 system