「ねえニャース」
「なんにゃ?」
「ちょっとじっとしててね」
「?」
あーやっぱりとどかない


*A special privilege*


つま先が体がぷるぷるしてしまうほど
精一杯背伸びをして
顔をいっぱいに上を向けるけど


ほんとにあとちょっと
ほんとのほんとにあとちょっと
ほんのちょっと


届かない


「ニャース背高いよ」
背伸びも限界ふてくされるようにそう呟いて背伸びをやめてため息をつく
「そんにゃこと言われてもにゃあ」
そういいながら困ったように笑うあなた


これじゃあできないじゃんか
いろんな恋愛もので見る
不意打ち的な
彼女が背伸びして彼氏にキス


あれがやってみたいのに
ほんの少しだけ足りない身長
そのほんの少しの距離


その距離が僕とニャースの微妙な距離を示してるような気がして
僕とニャースの埋めれない溝のような気がして嫌だった

僕はニャースのことがだれよりも大好きだし
ニャースだって僕のことがだれよりも大好き


そんなことわかってるし自信もある


それなのに


いっつも一緒にいられえないだとか
敵同士な関係だとか
周囲の目とか
周囲の関係だとか
そんなことで不安になって
溝を感じている


「まだこれからにゃよピカチュウ成長期だからまだ」
「ニャースだってそんな背が止まるような年じゃないでしょ」

この先背がのびたとしても
きっとあなたものびる


だから


この差がいつまでも縮まらない
いつまでも縮まらない
その距離がやっぱり僕らの溝みたいに思えて


嫌だった


ふてくされながら前を歩く僕に後ろにいるニャースがふいに声をかける
「ピカチュウ」
「な…」


振り返りざまにされたキス
触れるだけの


短くて
可愛い
甘いキス


体温があがる顔が熱い
「暫くはにゃーの特権だにゃ」
そういいながら笑ってゆっくりと離れる


ちぇ


不意打ちキスしたいってばれてたのか


「これからはずっとにゃーからしてあげるのにゃ」
「な!!そ、そんなのずるいよぉ僕からだってしたい!!」

そりゃあされるのは大好きだけど
自分からだってしたい


したい
したいのに…


「なら、その悲しそうな顔してくだらないこと考えておちこむのをやめるのにゃ」
はっとして顔をあげると勝ち誇ったような顔で笑いながら指を僕のおでこにつける


「そしたらピカチュウにも権利わけてあげるにゃでもそれだけはニャーの特権」
そういっておでこを軽くはじくと先を歩き出した


なーんだ全部ばれてるわけね


思わず顔が綻ぶ
いいよ
暫くはあなたの特権にしといてあげる
聞こえない声で呟いて先を行くあなたを追った


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ピカチュウとニャースって高さ同じなはずなのですが
アニメはなかなかの身長差がありますよね
きっとピカが幼いのですかね

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