*曇天*


「今日も大成功だったなヒコザル」
「ああ、そうだねポッチャマ」
救助の以来をこなした後の帰り道僕らはそう言いながら歩いて帰っていた
最近ではすっかり依頼のこなし方にもなれて
できない依頼はないと断言してもいいくらいだった


談笑しながら歩いていると鼻先に何か冷たいものを感じた
気になって手で触ると鼻は湿り気を帯びていた
雨だ
そう気がつくと同時に大粒の雨が降り注ぎ僕らを襲った


「うわぁ!!」
「だ、大丈夫か?ヒコザル?」
「ああ、でもどうしようポッチャマ」
雨という天候はポッチャマにとっては自分を優勢にする天候だが
自分にとっては劣勢になる天候にすぎない
「あの木の下で雨宿りしよう」
ポッチャマが近くの木を指して言う
その声と同時に駆け出した


木の下までくると水滴は体を襲わなくなった
「しばらくはここで待機だね」
「うん、そうだね」
この雨が一時的なものなのか
それとも長時間つづくものなのか
真っ暗な雲に覆われた空だけではヒントが少なすぎてわからなかった


ふと隣に座っているポッチャマに目をやる
水を出したり使ったりするのは見慣れているが水まみれなのは始めてみる気がしないでもない


しっとりと水気を帯びて
体の細かな体毛がねている
なぜだか心がドキリとした
気がつくと心拍数も上がっていた
ドキドキしている状態でポッチャマを見ているということに気がついた


何故だかそれが気まずくて僕は視線を外すように空を見上げた


真っ暗な雲に覆われた空からは断続的に大粒の雨が降り注いでいた
やむという気配は一切しなかった


少しでも気を緩めるとポッチャマの方を見そうになってしまう
別に見てはいけいものではないのに
何故だか見てはいけない気持ちになって
必死に意識を散漫させる


「ヒコザル聞いてるのか?」
その声にはっとして我に返る
隣を見ると少しだけ不機嫌そうにポッチャマがこちらを見ていた
「ご、ごめんぼーっとしちゃってて、聞いてなかった。はは…」
心情は微妙だが無理に笑ってみせた
「まったくもっとこっちこいって濡れるぞ」


気がつくと木の枝先が水の重みで下がってしまったのか
体の横ギリギリまで水滴が落ち地面が濡れそぼっていた
このままでは自分の頭に水滴が落ちてくるのは目に見えていた
しかし、ポッチャマのほうによってしまうとポッチャマとほとんど密着するような形になってしまう


なんとなけ今くっつくのは駄目なような気がしてためらっていると
「何してんだよ?ほら」
と引っ張られるいきなりかかった力に抗うことができず
僕はいとも簡単に移動させられてしまった


地面に手をつこうとするとポッチャマのおしりに触れてしまいそうになり慌てて引っ込めると手を膝の上においた
心臓が凄い速さで血液を循環させる
100メートルくらい全力疾走した後のようだ


どうしてなんだろう?


僕はいったいどうしてしまったんだろう?



突如手にものすごく冷たいものが触ってとびあがりそうになった
見てるとポッチャマが2枚の羽で僕の手を包んでくれていた
酷く冷たい羽に体温を全て奪われそうになる
「大丈夫か?ヒコザル?水…怖いのか?顔色悪いぞ」
真剣な眼差しでこちらを見つめてくるポッチャマ
冷たさで忘れかけていた心臓の速さが再び増す手を
包まれているので鼓動の速さが伝わってしまいそうで不安になる


「う、うん、大丈夫大丈夫。ちょっと疲れただけだから」
そういいながらまた笑ってみせる
ポッチャマは少し納得していないようだったが
「そうか」
とだけいうと手を離した
せっかく心配して手を包んでくれていたのにちっとも暖かくなかったのでこちらが損した気分になった


「何かあったら言えよ?オレ…お前のパートナーなんだから」
優しくそれでいて照れたように微笑むポッチャマに胸が痛くなる
なんだろうこの痛みは
最近よくこの痛みに襲われる



僕は本当にどうしてしまったんだろう
なんなんだろうこの気持ち
何なんだろうこの痛み


空を見上げるまだ晴れる兆しの見えない空は暗黒に包まれていて僕の今の心みたいだと思った


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ポケダンズより
ポケサンのアニメで覚醒しました
ジャンルに加えていこうと思います!!

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