4章 マーク

顔を上げた時
目と目ががっちりあってしまって
暫く見つめ合うような形になった


決して睨みつけるような目ではない
だからといって蔑みの目でもない


ただただずっとこちらを見ているのだ
しっかりと真っ直ぐにこちらを見てくる目には一点のくもりもなく
目線はどちらかというと会いたかった友達を見つけたような、
驚きと安堵が混じったような目線に見えたのはきのせいだろうか


暫くしてニャーは目線を外した
ピカチュウは1人のようだった


何もしてくる気配がないためたまたま出会っただけということで脳内処理をほどこした
覚悟を決めて一歩を踏み出す
ピカチュウは動かない


ピカチュウを避けて進んで行く
ピカチュウは何もいわないし何もしてこなかった


しかし…


予想外の行動をとった
ピカチュウは何を思ったのかついてきたのだ2、3歩の間隔をあけて


驚いたただ驚いてそのときは判断に時間がかかった。
ただ行く方向が同じなだけなのだろうか?
そう思い幾つもの角を曲がり
幾つもの路上に入り
来た時とはくらべものにならないほど難解な道を通った


しかしピカチュウはぴったりとくっついて来た
偶然にしてはできすぎているもしかして道迷ったのだろうか?
それで知り合いともいえるにゃーを頼ってついてきているのだろうか?


そう思ったにゃーはポケモンセンターの前を通ることにした
街中である以上彼らの今の拠点はほぼ間違いなくポケモンセンターであろう


ポケモンセンターに行くまでにも随分と回り道をしたがやはりピカチュウはついてきていた
回り道のせいで時間をかなりようした
これがタクシーなら大損だろう


ポケモンセンターの前まで来た
しかし…やはりピカチュウは中に入ろうとしなかった


にゃーは暫く前で立ち尽くしてみたがピカチュウも同じように立ち尽くすだけだった
もうわからなかった


何故ピカチュウがにゃーについてきているか
というかピカチュウが1人でいる時点で何故1人なのかわからないのだが


おまけに何もしてこなければ話かけてくるわけでもない
もう10まんボルトをされたほうがよっぽどましだった


もしやピカチュウはにゃーについてきてにゃーたちのアジトを突き止める気なのかとも思ったが
ピカチュウはそんなやつでもなければ
それにしてはあまりにもバレバレな尾行である


苦悩するにゃーを気にもとめずピカチュウは黙ってついてきている
目から何も感じることができない
ただいつもの天真爛漫な瞳ではなく無機物なものを見るような瞳だった


このままアジトに向かうわけにもいかない
いっそのこと走ろうかとも思ったがピカチュウをまける自信はなく
両手の荷物が重たく割れ物もあったため走ることはほぼ不可能だ
だからといってポケモンセンターの回りでずっとうろうろしているわけにもいかない
万が一ジャリボーイにでも見つかればにゃーは黒こげになってしまう
その心理からか気がつくとアジトからもポケモンセンターからも随分と離れた場所を歩いていた
荷物の物理的重さと心の心理的重さ足の疲労感からにゃーは限界を感じた


周囲を見渡すとあつらえたようにベンチがもうけられていた
そこに腰掛けるとピカチュウも静かに隣に腰かけた


そのベンチの前には時間が書かれた紙がはられた看板のようなものがありここがバス停だと気がついた
ただ看板の朽ち果て具合からもう使われていないのだろうと推測した


これからどうしようそう思っていた矢先口を開いたのは意外にもピカチュウだった


「どうしてさらわないの?」



排気ガスの臭いが風にのってどこからか運ばれてきた


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まだ続きます随分と間が開いてしまいましたスイマセン
そろそろクライマックスです
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