2章 かくれているでていけない


どう帰ったかは覚えていない
気がつくと汗だくで仲間の側にいた


脳が正常に働かなかった
荒い息づかいに肩が上下した
自分のうちなる気持ちと自分がしてしまったこと
気持ちや衝動がないまぜになって何にも考えられなかった


頬に熱いものが伝った


結局一睡もしなかったと思う
何をしていたか何を考えていたのかわからなかったから
はっきり寝てないとは言い切れないが。


「おはようニャース今日は早いな」
コジロウの声でやっと意識がハッキリする
「あ、そうかにゃ?」
「どうしたニャースすごいクマだぞ?」
「あ…あまりよく眠れなかったのにゃ」
「大丈夫かぁ?」
「平気にゃよ…」



全然平気なんかじゃない
全然大丈夫なんかじゃない


だけど


仲間に心配はかけたくなかったら
無理やり作った笑顔で笑って
虚無の言葉を呟く



頬をさわるとまだ微かに湿っていた



       ○



その日からなるべくピカチュウ強奪を任務に組みこまないようにした
難しいことはなかった


任務は他にも沢山あったし
サカキ様の命令と偽れば仲間を納得させるのもなんてことなかった
仲間を騙すことに罪悪感を幾度と感じた



しかし


どうしてもピカチュウに会いたくなかった
仲の良かった友達と喧嘩したかのように会いたくなかった
どの面さげて会えばいいかわからなかった
毎回酷いことをしようとしているのに平気で会えていた


なのに
なのに


あの一瞬の触れ合いは
いままで自分が犯してきた様々な悪行の中で
もっとも悪いことのような気がして



取り返しのつかないこと
これが本当に取り返しのつかないものなのだと思い知った


幸い忙しい日々が続いたこともあって考える暇がなかった



このままいけば忙しさで忘れられるそう思っていたある日事件はおこった



ほんとうに
たたま偶然
ピカチュウに会ってしまったのだ


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まだ続きます
次でおわり…かな?

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