＋会いたいとき＋


負けた


負けた


負けたんだ


ああ、負けたんだ


サトシ達がいなくなって
誰もいなくなった部屋の


薬品の仄かに香る部屋
ただただ白いだけの天上を見つめながら


やっとそう実感した


それを理解し実感したあと
胸が急激に痛んだ
酷く惨めな気分になって
悔しさがこみ上げる


きつく握り締めたシーツにしわがよる
白いだけの無愛想なシーツに水滴がおちて
ところどころ染みを作る


涙がとまらない
悔しい悔しい
辛い辛い


自身へのふがいなさ
敗北への悔しさ
裏切った期待への罪悪感


とめどない
不安と絶望が自身を襲う


「らしくにゃいにゃ」


ふいに聞こえた言葉
声のしたほうに向くと


あいた窓から


大好きなあの人が入ってきた


「そんな風に泣くなんてらしくにゃいにゃピカチュウ」


ベットサイドまでやってきて
その人は僕の頭をなでる


あたたかく
やわらかく
やさしい


頼れる人が来ると
愛しい人が来ると


我慢できるレベルは降格するのだろうか


声を殺して
すするように
泣いていたのに


「ニャース…ニャース…ぅうあああああ」
涙は封を切り
声をこらえることもできなくなる


必死にすがりつくように
抱きついて
ニャースの胸に顔を押し付けて
嗚咽をあげて泣いた


そんな僕を
ニャースはしっかりと抱きしめて
頭も撫でてくれた


「ぼく…ぼく…負けちゃったよぉ」


強がっていたぶんの
涙が
叫びが
言葉が


全部でてきて
全部あふれて


とまらない


負けることが
こんなに悔しかったなんて


負けることが
こんなに辛かったなんて


忘れかけていた感覚がよみがえる


「今はないていいにゃよ・・・たっぷり泣くのニャ」


その一言で
涙はさらに促進した


心をゆるした


すべてを許したこの人には


どんな姿を見せても平気だから
どんな姿を見せても受け入れてくれるから




----------------------------------------------------------END----------------------------------------------------------------------------------------------------

このあいだのＳＰからです
このＳＰでおもいついたネタ数は多々ありますので
更新にはこまらないですｗｗ