「ねぇ、ニャースってば聞いてる?」
「んー聞いてるよー」

嘘!!


+怒り+


「ねぇニャースってばぁ」
ちょっと甘えた調子で
声をかけ
背中にとびついてみる


しかし


「ちょっと待ってってば」
そう言って
冷めたようにあしらわれる


なんだいなんだい


そんなことを思い
やさぐれる


いつも会えばかまってくれるニャースが
今日はかまってくれない
理由は簡単
ニャースの手の中には
一冊の雑誌があった


表紙にはかわいいポケモンが掲載されている


ニャースは今日ずっとこの本に夢中だった
たまたま拾ったらしいけど
その集中力は目におどろくものがあった


さきほどからからんでくる僕を
いっこうにかいしないところからも
それはうかがい知れる


そんなに何が面白いのか
いったい何が面白いのか


それがきになり
背中にのった状態から
ニャースの持つ本の中身を覗いた


きらびやかな衣装
かわいらしい小物
きらめく化粧


それらに彩られた
美しく
かわいらしい


女の子ポケモン達


ちょっとむっとする


だってそんなもの
彼女の前でみるものじゃない
見られて気分のいいものでもない


行き場の無い怒りを
にわかに持ちつつ
ニャースの顔を覗く


すると


そこには
満足げに
にたりと
笑みを浮かべる
ニャースの顔


頭にとても早く何かが上る
脳を刺激する


おさえられない衝動
おさえられない怒り
おさえられない嫉妬


そのすべてが脳にのぼりつめ


気が着くと僕は雑誌を
アイアンテールでこっぱみじんにしていた


無論突然の暴君にニャースはおどろいたようで


「い、いきなり何をするにゃよ」
とおびえたように声をはりあげた


「うるさい!!!!」
自分でもしんじられないくらい
大きな声をはりあげて
はしたなく怒鳴る


おどろいたように
おびえたように
固まるニャース


「にゃんでないてるのにゃ?」
暫くしてニャースが口をひらく
自分でも驚いた


何故だかわからなくて
誰のためなのかわからなくて
とめる方法がわからなくて


一気に泣き崩れた


「急に雑誌を攻撃して…泣き出していったいどうしたのにゃよ?」
心配してくるように問いかけて
近づいてくる


「こないで!!」
はらいのけようと
手をいきおいよく振るが
その手はいともたやすくうけとめられ


だきよせられた


「おちついて」
そう言って
ニャースの胸のなかに
ひきよせられる


暖かい


普段なら
きっとおちつくのだろう
でも
でも


今日は違った


おちついてこそいて
暴れることはないが


とまらぬ涙と
しずまらぬ怒り


搾り出すような
ひねり出すような
か細い声でせいいいっぱい
大きな声で叫ぶ


 「ほかの子に…」
「え?」
「いちいちほかの子に…デレデレしないで!!」


呆気にとられるような表情のニャースにさらにまくしたてる


「そりゃ…そりゃ、わかるよ?かわいいよ雑誌に載ってるあの子たちは
僕なんかより何倍もかわいいだろうし、僕自身もかわいいと思うよ……
だけど、だけどね…悔しいし…悲しいし…辛いんだ…だから…だから
わがままだし…ばかげてるし…ずうずうしいし…身の程しらずだって
分かってわかっているけど…」


「僕だけを…僕だけをみてほしいんだよお」
そういってさらに強く抱きついて
涙を流す


そのとき


「ははは、あはははは」
そういいながらニャースは笑い出す
そんなにおかしいこと言ったかな
僕は真剣なのに


「笑うな!!」
「にゃはは、ごめんごめんにゃ」
「でも別にデレデレしてたわけじゃにゃいにゃよ?」
「嘘!!だってニヤニヤして」

また怒りがこみ上げてくる
せめて認めてくれればいいのに
そんな思いがかけめぐる


「ニヤニヤしてたには優越感からにゃよ」
「へ??」


ニャースはただでさえ近い場所にあった顔を
さらに近づけて言う


「どのこもたいしたことないなあとおもったにゃよ!!…ピカチュウに比べて」
「!!/////」


顔がおかしいくらい
熱い
焼けて
炭になって
灰になってしまいそうで


はやとちりと
恥ずかしいぐらいの嫉妬と暴走


はずかしくてはずかしくて
今にも逃げ出してしまいたいくらい


さっきまでの会話を
会話の記憶を
さっきまでの行動を
行動の記憶を


ニャースの記憶の中かわすべて抹消してしまいたい


「すごい嫉妬のしようだったにゃあ」
「いやあん…言わないでよぉ」


じたばたともがいてのがれようとするが
ニャースはがっちりと抱きしめていて
のがれることができない


「かってなはやとちりでにゃーを罵倒して雑誌までボロボロにしたんだからおしおきしにゃいとにゃあ」
「…痛いのはやだかんね」


抵抗をあきらめ
クスリと微笑みながら言う僕に
ニャースもやさしい笑みを返す


しっとりとしたやわらかいものが唇に重なるのを感じながら


目を閉じ甘く心地よい感覚へと身を委ねた


-------------------------------------------------------END---------------------------------------------------------------------------------
ピカチュウ嫉妬もの
どっちかっていうと私はピカがニャース大好きすぎる
といった素直で一途なピカ希望です☆






inserted by FC2 system