夜の帳に負けたくない

*a pall of darkness*


「みんなオマエのことキライなんだ皆」
「……」
「早く死んじゃえばいいのに」
「リュカの目がつぶれて足が折れちゃえばいいのに」
「……っ」
「死んじゃえばいいのに」
「…」
「さっさと死んでよ」
「……ぅぅ」
「あきらめてよ」


「っ!!」
目が覚めるとベットの上だった


嫌な汗がまとわりつき
寝間着を湿らせ
湿った寝間着が肌にねっとりと絡みつくように
はりついている



気分が悪い気持ちが悪い


「嫌な夢」
ハイライトを失った瞳で
ただただ俯いて
そう呟いた


そして自身の無力さに
歯痒さと
情けなさ
を感じた


自分の体を囲むくらいの
四角形の台にさえ
僕は敵わない


自分を囲む四角形の台でさえ
自由になることなどできない


そう感じて


「リュカ?大丈夫?」
不意な声に反応し声のしたほうを向く


隣接したベッドで寝ている
僕の最愛の人
ネス


「すごいうなされてたけど…大丈夫?」
そういわれて
そんなにうなされていたのかという事実と
彼を起こしてしまった罪悪感にかられた


「うん、大丈夫、大丈夫だから…」
そう言って
無理に作って
笑ってみた


最愛の人に
これ以上迷惑をかけたくなかった


でも


「う そ!」
そういうと彼はベットから
ひらりと降り
僕のベットへと上ってきた


「平気なんてうそ」
「ほ、ほんとだよ」
「うそ、顔に書いてあるよ、リュカはすぐ顔に出る」


そう笑いながらおでこをコツンと小さくこづく


やっぱりかなわないなあネスには


「怖い夢?」
「うん、すごくすごく怖い夢」
「どんな夢なの?」
「それが…よくわからないんだ」
「??」
「すごくすごく怖い夢なんだけど…目が覚めると忘れてて…」
「…」
「きっとその夢は僕になにかを伝えたいんだけど僕はわすれてばかりだから何度もみせられてるんだろうね」


そんなことをいって
また無理に作って
笑ってみた


「そっか」
ネスはそれだけ呟くと
すこしう〜んと唸るように
悩んだ面持ちで
天をあおぐ


暫くすると
こちらに向き直り
口を開いた


「じゃあネスに勇気がでるおまじないをしてあげるよ」
そう言ってにっこり笑う彼


「おまじない?」
「うん、悪夢に負けない立ち向かえるようになるおまじない」


「どうすればいいの?」
「僕がしてあげるから少し目をつぶっていて」


そう言われ
言われたとおりに目を閉じる


その瞬間


何かが触れた


おでこに


触れたのは
あたたかい
やわらかい


何か


目を開けると
それは
ネスのまぎれもない
唇だった


真っ赤になり
呆気にとられる僕をさしおいて
ネスは言葉を続ける


「僕の勇気わけてあげたから大丈夫」
そう言ってニコっと微笑むと自分のベットに
さっさとかえってしまった


「おやすみリュカ」
それだけのこすと
ネスは布団の中へともぐった


暫し呆気にとられ
顔を真っ赤にしていたが
ようやくわれにかえる


おでこに触れてみる
まだ仄かに暖かかった


うっすらとした笑みを浮かべて
夢の中へとはいってしまったであろう
彼に言葉を発す


「ありがとうネス」


もう怖くない
もう恐れない
もう負けない


君がいるんだもん


心に強くそう誓い
心に強くそう刻み


僕は夢の中へと出撃した


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いわずと知れた某サイトさまに案をいただきましたw
アザース
こんな出来でスミマセヌ…




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