君みたいになりたいな


*ガラス細工*


「あれリュカまだ脱いでないの?」
「あ、うん…先に入ってて、すぐに行くから」


そうぎこちなく答えると
納得したのか友達は
「じゃあおっさきー」


と楽しげに言うと
我先にと大浴場の中へと消えていった


「はぁ…」
楽しそうな皆とくらべ
1人気乗りがしない僕は
服を脱ぐ作業とは思えないくらいの速度で
服を脱いでいた


まずシャツを脱ぐ
そしてため息を1つつく

そして靴下を脱いで
さらにうなだれる


そしてズボンを脱いで
パンツ一枚になる


あらためて下着姿になった自分を見つめなおして
さらにため息を深くついた


今自分の顔を鏡で見なくともわかる
今の自分の顔は眉毛がたれさがりうなだれていて
かつ転校生のような緊張と恥ずかしさを帯びた
表情をしているに違いない


別に太りすぎだとか
やせすぎだとかいうことで
悩んでいるわけではない


困っているのは色白な肌


友達と同じように遊んでいるのに
自分の肌は日焼けせず
白さをたもっていた


自身の肌は白すぎる
ガラス細工のような
細く透き通った
脆弱で儚い
いまにもくずれてしまいそうな肌と体


それが嫌だった
恥ずかしかった


だから人に服を脱いだ姿を見せるのが嫌だった
だから皆でお風呂に入ったり
プールに行ったりするのが嫌だった
だから今こうやってしぶっている


女の子たちから羨ましがられることもあった
しかし自分は嫌だった


もっとこの時期の子供らしい
元気で明るい健康的な肌の色がいい


そう自分の思い人のような
白すぎず黒すぎない
ちょうどいい肌の色


「あれ、リュカまだ入ってなかったの?」
急にかけられた声にドキリとおののく
声をかけたのはもちろん


「…ネス」


自分の思い人だった


「どーしたのリュカ、そんな格好で寒くない?」
「う、うん大丈夫だよ、ほらここ暖かいしさ」


そういいながら無理やり作った笑顔で笑ってみせる
ネスは少々心配の色を顔にうつしたが
「そう」とだけ言うと
リュックをおろしてタオルをとりだした


「もしかして僕をまっててくれたの?」
そう言ってニコリと笑う
その笑顔にドキっとして
思わずうなずくと
ネスは再びニコリと笑った


「ありがとう、じゃまっててねすぐ準備するから」


そういうとネスはあっというまにおしげもなく
シャツもズボンも脱いで
僕と同じ姿になる


すると先ほどと同じ姿のまま
下着をまとったまま浴場に入る格好に
準備してない僕を不信に思ったのか
小首をかしげながら聞いてくる


「どーかしたの?リュカ」


返す言葉が見つからず
手に持ったタオルをくしゃくしゃする


チラリとネスに視線を移す


僕とまったく同じ格好を今しているのに
同じではない


ガラス細工のような体色とは違う
まるでベッコウ飴のような
煌いている
とても健康的な肌


「いいなあ」
思わず口から出てしまった言葉
すぐに手で口を塞ぐが遅すぎた

「いい?何が?」


そうまっすぐな瞳でみつめられながら
聞かれる
逃れるすべなどなく
僕はおもっていることを素直に言うことにした


「肌の色…」
「?」
唐突にストレートに言い過ぎたのか
ネスは理解できないという顔つきだ


「僕ねネスみたいな肌のいろになりたいんだ」
「どうして?」


やはり意味がわからないみたいで
ネスは素早く聞き返してくる


「だってさ、ぼくの肌白くて…ガラス細工みたいなんだもん」
「嫌なの?」
「うん、だって…なんだか」
そういってつまっていると
ネスが口を開いた


「違ってて当たり前なんだよ」
そういわれて下を向いていた顔を上げる
ネスはさきほどと同じように笑顔で答える


「僕とリュカはさ違うんだから」
そういうとネスは下着も脱いでお風呂へ行く格好になった
「それにね…僕はリュカのその白い肌がリュカらしくていいなって思うし」
「僕、今のリュカが好きだから、今のままがイイナ♪」


突然のセリフに
僕はただただ
赤くなって
戸惑うだけだった

そんな僕をつゆしらずか
ニコッと笑うと僕の手をつかんで
「さ、早くはいろう!!」
といって
浴場へと走り出した


まるで加熱中のガラス細工のような体色になった
ぼくに気がつかずに



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いきおいで書くのがラテ流ですw
某サイト様の絵で一気に浮かび上がり
書き上げた作品ですww



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