どうしてこんなことになったのだろう
そう思い
目の前の現実から目をそむけるように
うつむいた


目の前にたいじする
愛しの人から
めをそむけるように


*unwillingly*


どこでミスをした
僕らしくもない


そんなことをどれだけ悔やんでももう遅い
6日の菖蒲
10日の菊
あとの祭りだ


先ほどまでの
敵対している
いとしい人の幸せな時間は
消え去り


もっとも苦痛で苦しい時間が始まった


2人でいつものように
秘密で会って
いろんなことをしていた


楽しくて
幸せで
愛しい時間


しかし
時間がきて
分かれようとした矢先


みつかった
サトシに


何もしらないサトシには
この光景が
僕が奪われる光景にしか見えなかったのだろう


そして
指示が飛んだ


「10まんボルトだ」


胸が痛い
苦しい
せこい


僕がためらっていると
ニャースのほうから
攻撃をしかけてきた


無論あてるきのない
みだれひっかきは
僕のよこをかすめ
ニャースと体位が並ぶ


「はやくニャーニ攻撃をするのにゃ」
「…っ!!嫌だよ冗談じゃない」
並んだニャースが小声で言う
しかし
そんなことできない


「なにしてんだピカチュウ!!」
サトシがせかす
「早く!!ピカチュウこのままじゃおみゃーの立場が」
「っ…うわあぁぁぁ!!」


放たれた雷撃は
愛しの人を丸焦げにして
爆発をおこし
愛しの人を遠くまで飛ばした


涙がでる
くやしくて
つらくて
なさけなくて
いろんな思いが交差する


そんな僕の心理をしるわけもなく
サトシは僕にもっとも残酷な言葉をかける


「よくやったなピカチュウ」


よくやった?
人の気も知らないで


トレーナーのくせに僕の気持ちがわからなくて
トレーナーのくせに僕の気持ちに気がつかなくて


愛しの人を攻撃させておいて
なにをいけしゃあしゃあと
ほざいているのか
ほえているのやら


何が正しくて
何が間違いなのかすら
もうわからなくなりそうで
気が狂いそうで
自我が保てなくて


「ピカ♪」


それなのに
そのキモチをむりやりにおさえつけて
偽者の笑顔を
偽者の仮面を
はりつけて答えるように啼く自分が


ひどく情けなくて
ひどく惨めで
大嫌い


吐き気がする




その夜





「ひっぐ…ううぅ…えっぐ…ぐっすひっぐ…げっほがはっ…」
川辺で僕は泣いていた
目を真っ赤にはらせ
栓をなくした涙をとめどなく流し
むせ返る自分


自分自身をうつす清らかな水は
無様なぼくを忠実に再現していた


「ニャースごめんねぇ…ごめん…ごめんよぉ…」



啼き
叫び
喘ぐ


どれだけ無駄と
わかっていようと
そうせずにはいられなかった


「ごめん…ごめんよぉ…」
「ほんとだにゃまったく」


声がしてふりかえる
「少しくらい手加減してほしかったにゃ」
「ニャース…ニャース…うわわわあ」


だきつく
まだ痛々しい
焦げ痕ののこる
胸に飛び込み
強くだきつき
涙をはわせる


「ピカチュウにゃーはニャーは大丈夫だから」
「嫌だ、もう嫌だよこんなことこんな生活」
しゃくりあげた声で
みっともない顔で


「いっしょにいたいよ」
叶わないとわかっているのに
そう言わずにはいられなかった


暫くするとニャースが口を開いた
「今はまだだめ」
「今はまだ、ピカチュウが失うものが多すぎるから…だから」


そういって顔を包まれて上向きにされる


そして
「いつかぜったい…迎えにくるから」
そういってキスをした


あたたかく
包まれ感のある
溶けそうなキスに
いまは目を静かに閉じて
身を委ねた


「「いつかかならず」」
それが僕らの誓い





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終わり方が実に微妙です
また何パターンかあったので…
また後日修正や別パターンをアップするかもしれませんので


ピカニャすこしシリアスちっく








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