*大和撫子*


「ねえねえブイゼル」
「何だ?」
「大和撫子って何?」


またか、そう思ってしまう
パチリスはまだ幼いがゆえに好奇心旺盛だ


そのため毎日のように


「〜って何?」


と聞いてくる
毎回どこで知ったのかと思うような
難しかったり
変な言葉だったりする


今回もまた難しいどう説明していいかわからず
オレは言葉をつまらせる


「ん〜っとだな…あつまりはたとえだ」
「たとえ?」
「ああ、女の子を褒めたりするときに使うんだ」


かなり簡略化した説明だがこのくらいでいいだろう
あまり難しく説明したところでわからないし
説明できないからだ
なのでこのくらいでちょうどいい


「ふーん、じゃあパチリスは大和撫子?」
「え?」


どうしようか考える
「褒める言葉」と言った手前…


「そう」
と言ったほうがいいのだろうか


しかし、嘘を教えるのはよくない
失礼かもしれないがパチリスはとてもではないが
大和撫子ではない


逆
寧ろ「じゃじゃ馬娘」のほうが
あってる気がする


考えた末嘘はいけないという考えが勝った


「う〜ん、パチリスは少し違うかな」
「ふーん、そうなんだ」


パチリスは全く動じなかった
新しい知識が増えうれしそうだった
泣かれるのではないかと心配していた胸をほっとなでおろした


しかし
パチリスはさらなる質問をする


「じゃあブイゼルの結婚したいタイプは大和撫子?」
「ぶっ」


あまりの質問にオレは吹いてしまった
子供がゆえの質問
悪意がないだけによけいに罪だ
これがポッチャマならズタズタにしているだろう


いちいち真剣に悩むのがバカらしく思えるが
やはり真剣に考えてしまう


オレの意見ひとつでパチリスが
勘違いしたり
恥をかいたり
してはこまるからだ


自分の好みのタイプ


オレは守ってあげたくなるような子が好きだ
あぶなっかしくて
そそっかしい
そんな風な子


おそらく大和撫子ではない


「ん〜俺は違うかな」
「そうなんだ」


まったく
小さいうえに女の子だからか
この天下のブイゼル様がなんでこんな…
とため息をひとつつく


「じゃあさ」


まだなにかあるのか
少々うんざりする
次は何か


「私ブイゼルのお嫁さんになれるね」
「ああ…えっ!?」
同意しかけてつまる
彼女は何と言ったのか


「そうだ!ミミロルにも意味おしえてあーげよ」
真っ赤になって呆気にとられる自分をおいて


パチリスはかけていった


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初ブイパチ


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