もはや私の精神は
さながら崖から落ちそうな…
必死にへばりついてる…


それくらいまでおいやられていた


しかし


そんな私の必死にへばりついている手を
ふみにじるかのような言葉が
私を襲った



「もう…じらさないで早くしてよ…意地悪…」
ピカチュウはそういいながら
ニャースにからみつくように抱きつく


そしてニャースがほくそえみながら顔の位置をピカチュウの下腹部に…


気がつくと私は来た道を必死に死にものぐらいで
まるで誰かに追いかけられてるかのような速度で


全力疾走していた



うそだ
嘘だ
ウソだ
ウソダ


頭の中を文字が飛び回る
ヒカリ達の居るところまで帰りつくと
私はもと寝ていた場所に寝転び


ギュッと目をつむった


私の体は恐怖に震えていた



気がつくと寝ていたのか目覚めると朝だった
「遅いぞーミミロル」
ヒカリはそう言いながらすでにセットされた髪型で近づくと私を抱き上げた


チラリと視線をサトシのほうに移す


タケシの朝食の準備を手伝うサトシ
その肩には何時も通りのピカチュウの姿


明るくて元気な


ピカチュウの姿


昨日の姿とは似てもにつかない…


やっぱり昨日のは夢か何かだったのか…


そうだきっとそうに違いない
昨日のは私がみた夢なんだああ嫌な夢だったなぁ
なんてことを思っていると


「ピカチュウ薪を拾ってきてくれないか?」
サトシがそうピカチュウに聞く
ピカチュウはまかせなさいと言わんばかりのポーズをとる


するとサッとサトシの肩から降りて森の奥へと向かって歩きだした


すると


「ミミロルも手伝ってきなさい」
ヒカリはそう言うと私を地面におろしウインクをした
私はピカチュウと二人きり!


と思いはしゃぎながらピカチュウの後をおう





ある程度薪を拾うとピカチュウが
「そろそろ帰ろうか」
と言ったので私はこくんと頷くとピカチュウと並んで歩きだした


あまりの嬉しさと楽しさに私は昨夜のことをすっかり忘れていた


少しばかり歩いた時だった
「そういえばさミミロル」
「な、なに?」


ピカチュウから話かけられることはめったにないうえに
私の内面を聞き出すような質問形式に私の胸は高鳴った



「覗き見がすきなのかい?」

頭に?が浮かんだのは
少しだけ


ピタリと足がとまる
心臓が止まったような気がした
思考が回らない心の中が無になる…



そしてピカチュウが振り返る
その表情はいままで見たことない…


そう

それはまるで


悪魔のようなニヤリとした笑顔



私は手から全ての薪を地面へと落とした

つづく

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