だから僕らにはサッカクがうまれる


*平行線*


「君のことが好きだ。ずっと一緒にいたい」



急な告白に顔が羞恥心で赤く染めあがり熱くなる
嬉しさで目に汗が溜まる


しかしその汗は嬉しさだけで出来てはいなかった



半分は悲しさで出来ていた
こいつはやっぱり…根っからの馬鹿だ…



「馬鹿じゃない…」


涙が見えないように
くしゃくしゃの変な顔を見られないように
帽子を深くかぶって隠しながら言う


「どうして?」
平然としたそれでいて強くかつ優しい声で聞いてくる
「わからないわけ?」
涙で声がひきつる


「僕は馬鹿だからね」
余裕のあるそれでいて明るい声そこまで馬鹿な訳?


これ以上喋りたくない


涙をしゃくりあげて一気に言う



「僕はね!泥棒なの!泥棒!君はねヒーローなの、ヒーロー!捕まる者と捕まえる者、犯罪者と英雄、まったくの正反対なの一緒になんてねなれないの!」


そこまで言って泣けた
隠せないくらい封を切ったように涙がボロボロ流れる


隠したいのに手が動かない
拭きたいのに腕があがらない
自分の意識で止めることができない
声が出そうなのを止めるだげで精一杯だ
自分で言って惨めで情けなくて泣いた



幼い頃飢えに耐えられなくなってたった一度だけした初めての犯罪…


それが万引きだった
いとも簡単にとれた…


それがいけなかった


味をしめた僕らは
万引きを繰り返した…


真面目に働くのが馬鹿らしくなった…


どんどんとるものがエスカレートしていった…
真面目に働くのから逃げ出した
そんな卑怯な弱虫の僕が幸せになる資格などないのだ…



しかし沈黙は長くは続かなかった

つづく

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